採用通知とは?内定通知との違い
採用通知書とは、企業が応募者に「採用」したことを意思表示するものを指します。一方で内定通知書は、応募者に「内定」を伝えるものをいいます。「内定」は、始期付解約権留保付労働契約が成立している状態を示すことから、「内定通知書の交付=解約権留保付労働契約の成立」と解釈される場合があります。
※解約権留保付労働契約とは、入社予定日までの間に労働力提供のために必要な要件を内定者が満たせなくなった場合、会社側が労働契約を解約できる権利がある労働契約のことを指す。
以下、「採用通知」「内定通知」に加えて「不採用通知」について簡単に説明します。
採用通知
採用通知書には法的な定義はないため、企業によって採用通知書の定義は異なります。基本的に「採用」を決定したことを伝える書類を指しますが、内定通知書を採用通知書だとしている企業もあります。採用通知書は、内定通知書を出して内定承諾を得てから出すのが一般的です。
内定通知
内定通知書は場合によっては法的効力を持ち、労働契約の成立を示す書類になることがあります。新卒採用の場合、入社までに数カ月あるころから、応募者とのトラブル回避のためにも内定の証拠として内定通知書を送付する企業が多いようです。
不採用通知
不採用通知書は、採用結果が不採用になったことを伝える書類を指します。採用結果は応募者の今後の就職活動に影響する可能性があるため、書類による連絡が難しい場合は、電話もしくはメールで結果を伝えましょう。
採用・不採用通知書のテンプレート
採用結果は、書類で通知するのが基本です。ここでは、採用・不採用通知書のテンプレートを紹介します。
採用通知書のテンプレート
〇〇年〇〇月〇〇日
(応募者氏名)様
(社名)
代表取締役 〇〇〇〇
採用通知書
拝啓 ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
この度は、多数の企業の中から弊社に応募いただきまして、誠にありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、最終面接にお越しいただいたこと重ねてお礼申し上げます。
厳正なる審査の結果、(応募者氏名)様を採用させていただくことに決定いたしましたのでご連絡いたします。
つきましては、同封した書類をご確認いただき、必要事項を記入の上〇〇月〇〇日までにご返送くださいますようお願いいたします。
入社日、新入社員研修等の日程につきましては、◯◯月頃に通知いたします。
敬具
記
・同封書類 〇〇書 1枚
〇〇契約書 1枚
返信用封筒 1枚
・提出書類 〇〇書、〇〇契約書
・返送期限 〇〇年〇〇月〇〇日
以上
ご不明点等ございましたら、人事部(採用担当者名)までお問い合わせください。
お問い合わせ先:株式会社〇〇〇〇
人事部 (採用担当者名)
TEL:(電話番号)
記載項目
採用通知書は発行に法的義務がないため、決まった形式はありません。企業によって内容が異なりますが、主な記載項目として以下が挙げられます。
・日付
・宛名
・差出人名
・タイトル
・頭語と結語
・応募者へのお礼
・採用を決定した旨
・入社日
・同封書類の内容
・提出書類の内容
・書類の返送期限
・採用担当者の連絡先
採用通知書に「応募者へのお礼」「採用を決定したこと」を記載することは当然ですが、「入社日」や「提出物の締め切り日」など、応募者が今後のスケジュールを想定できる内容も添えると、身動きがとりやすくなります。
不採用通知書のテンプレート
〇〇年〇〇月〇〇日
(応募者氏名)様
(社名)
代表取締役 〇〇〇〇
選考結果のご案内
拝啓 ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
この度は、多数の企業の中から弊社に応募いただきまして、誠にありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、最終面接にお越しいただいたこと重ねてお礼申し上げます。
厳正なる審査の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。ご希望に添えず恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願いいたします。
なお、ご提出いただいた選考書類を同封しておりますのでご確認ください。
末筆ではございますが、(応募者氏名)様のより一層のご活躍をお祈りいたします。
敬具
記載項目
不採用通知書の主な記載項目は以下が挙げられます。
・日付
・宛名
・差出人名
・タイトル
・頭語と結語
・応募者へのお礼
・選考結果
・エクスキューズ
・応募書類の処理方法
不採用通知書には、応募者に対して申し訳ない気持ちを伝えるために「誠に残念ではあります」や「ご希望に添えず申し訳ありません」といったエクスキューズを入れましょう。なお、履歴書といった応募書類は個人情報保護の対象になるため、個人情報保護法に従って適正に取り扱わなければいけません。応募書類の処理方法について応募者に伝達していない場合は、不採用通知書に記載しておくと、応募書類に関連したトラブルの発生を防げます。
電話で採否を通知する時の会話例
ここでは、電話で選考結果を伝える際の会話例を紹介します。電話は書類による連絡と違い、スピーディーに結果を伝えることができます。
応募者からの時間指定がなければ、午前中に電話するのがおすすめです。午前中に連絡しておけば、応募者から昼休みや授業後に折り返してもらえるかもしれません。
採用の場合
採用結果を伝えるとともに、応募者に入社意思があるかどうか、様子をうかがいます。もしその場で入社するという意思表示が取れた場合は、内定通知書や内定承諾書などの書類を送付することや、書類返送の必要があることも伝えましょう。入社の意思が取れなかった場合は、いつまでに承諾の可否を連絡してほしいのかを伝えます。
採用担当者:(応募者氏名)様でしょうか?(社名)人事部(採用担当者名)でございます。今、お時間よろしいでしょうか?
応募者:はい、大丈夫です。
採用担当者:先日は最終選考にお越しいただきありがとうございました。厳正なる審査の結果、〇〇年〇〇月からぜひ弊社で働いていただきたいということになりました。
応募者:内定のご連絡ありがとうございます。大変うれしく思っています。
採用担当者:そのようにおっしゃっていただき、ありがとうございます。差し支えなければ教えていただきたいのですが、すでに選考が進んでいる企業はありますでしょうか。
応募者:現在、選考が進んでいるのは2社です。
採用担当者:左様でしたか。お返事は◯日までで問題ございませんので、ゆっくりと考えていただければと思います。◯月◯日までに、(採用担当者名)までメールにてお知らせいただくこと、お願いできますでしょうか。
不採用の場合
不採用を通知する場合も、採用通知と同様、応募へのお礼をまず伝えます。いい加減な対応をすると、それが口コミで広がるなどして自社の印象に悪影響を与える可能性があるため、丁寧な対応を心掛けてください。
採用担当者:(応募者氏名)様でしょうか?(社名)人事部(採用担当者名)でございます。今、お時間よろしいでしょうか?
応募者:はい、大丈夫です。
採用担当者:先日は最終選考にお越しいただきましてありがとうございました。慎重に検討しましたところ、残念ながらこの度は採用を見送らせていただくことになりました。このようなお返事を差し上げる形になりまして申し訳ございません。この度はご応募いただき、誠にありがとうございました。
応募者:かしこまりました。ご連絡、ありがとうございました。
採否連絡を含む電話による応募者対応について詳しく知りたい方は「採用担当者になったら押さえておきたい 電話による応募者応対のキホン」をご覧ください。
メールで採否を通知する時の例文
ここでは、メールで選考結果を伝える場合の例文を紹介します。メールで採否を通知する場合、応募者がメールを見逃してしまう可能性があるので、事前に「数日以内にメールで採否を通知する」と応募者に伝えておくと安心です。
採用の場合
メールで選考結果を伝えるときは、本文だけでなく、「件名」の書き方にも配慮します。件名は、自社からの選考結果を伝えるメールだとひと目でわかるよう、「用件」「社名」を記載しましょう。また、【】といった記号をうまく活用すると目に留まりやすくなります。
件名:【選考結果のご連絡】採用通知(社名)
(応募者氏名)様
(社名)の(採用担当者名)でございます。
先日は最終選考にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
選考の結果、(応募者氏名)様を弊社社員として採用させていただくことになりましたのでお知らせいたします。
つきましては、入社にあたり提出していただく書類を本日郵送いたしました。〇〇月〇〇日までに必要事項をご記入・押印の上、ご返送くださいませ。
ご不明点等がございましたら、人事部(採用担当者名)(電話番号)までご連絡ください。
(応募者氏名)様とお会いできることを、社員一同大変うれしく思っております。
メールにて恐縮ですが、ご連絡申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
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(会社名)
(所属部署)
(担当者名)
(電話番号・メールアドレス)
(会社の住所)
不採用の場合
不採用をメールで通知する場合も不採用通知書と同様、失礼のない、誠意のある文章を作成しましょう。エクスキューズを入れることはもちろん、応募への感謝の気持ちが伝わる言葉を添えます。
件名:選考結果のご連絡(社名)
(応募者氏名)様
(社名)の(採用担当者名)でございます。
先日はお忙しい中、弊社の(最終面接、採用試験など)にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
選考の結果、誠に残念ながら、この度は採用を見送らせていただくことになりました。
ご希望に添えず恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願いいたします。
応募書類につきましては、こちらで責任を持って処分させていただきます。
改めて、多数の企業の中から当社に応募頂きましたことを心より感謝いたします。
末筆ではございますが、(応募者氏名)様の今後のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
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(会社名)
(所属部署)
(担当者名)
(電話番号・メールアドレス)
(会社の住所)
新卒・中途別で採用通知メールの例文を知りたいという方は「採用・不採用メールの書き方【テンプレート付き】 電話での伝え方も」をご確認ください。
採用・不採用通知書の送り方と通知を出す時期
ここでは通知書の送り方やタイミングについて紹介します。
採用・不採用通知書は郵送?メール添付?
採用・不採用通知書は郵送するのが一般的でしたが、近年はメールで通知をする企業も増えています。郵送には多少の時間がかかってしまうため、少しでも早く結果を伝えたい場合はメールに通知書のPDFを添付して送信すると良いでしょう。自社に合った方法を選んでください。
採用・不採用通知書に同封する書類
通知書を郵送で送る場合、同封する書類は採否によって変わります。採用通知書を郵送する場合は、入社承諾書を同封します。このとき、返信用封筒も忘れずに同封してください。
不採用通知書を郵送する場合は、応募者から提出された履歴書やポートフォリオを同封すると良いでしょう。ただし、事前に面接やメールなどで破棄することを伝えていれば返送は不要です。
採用通知は1週間以内に
採用通知は最終選考後3日~1週間以内に出しましょう。早め早めに連絡を入れておくと、応募者に安心感を与えるだけでなく、入社意欲向上が期待でき、自社を選んでもらいやすくなります。
なお、結果の連絡が遅いと他社に入社を決めてしまうこともあるため、取り急ぎ電話やメールで結果を伝え、後日書面で正式に通知すると良いでしょう。
まとめ
本記事では採用・不採用の伝え方について、書類、電話、メールに分けて例文とともに解説しました。素早い通知は応募者に好印象を与えます。お忙しいことと思いますが、最終選考後3日~1週間以内に連絡できるよう、まず電話で選考結果を伝え、後日、書類を郵送もしくはメールで送ってはいかがでしょうか。
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